先日、横浜の老舗料亭『田中家』さんで食事をする機会に恵まれました。
日本で最初に新婚旅行をしたとも言われている坂本龍馬と妻のお龍(おりょう)。
幕末偉人ランキングで圧倒的に人気のある坂本龍馬。その坂本龍馬の奥さんであるお龍が坂本龍馬亡き後に勤めていたのが田中家です。
今日まで私はきっと、5万回以上食事をしています。
でも今すぐ思い出せる食事は、50回にも満たないかもしれません。
1,000分の1ほどの確率です。
それは、1年に1度出合うくらいの確率の食事でしょうか。
ずっと記憶に残る、思い出深い食事を『田中家』さんですることができました。
神奈川宿の横浜の料亭田中家とは
神奈川宿とは
青木橋の交差点から横浜駅西口(横浜高島屋やお見合いなどで良く使われる横浜ベイシェラトンホテルのある方)方面へ車で1分ほどの右手に神奈川宿の田中家さんはあります。
横浜駅西口から歩いて10分足らずです。
田中家さんの創業は文久3年、1863年です。大政奉還の4年前です。
神奈川宿とは、東海道53次の3番目の宿場町で、黒船が来る10年ほど前の1843年には人口5,793人(家屋数1,341軒)、旅籠58軒の宿場町だったそうです。(東海道宿村大概帳より)
今では、田中家さんの周りはマンション群となっています。
料亭とは
料亭では個室で会席料理が味わえ、女将さんや中居さんがもてなしてくれます。
料亭は、芸妓さんがいるイメージもあります。 田中家さんでも東京オリンピックを機に芸妓さんに集まってもらい、海外の方に日本の文化を知ってもらおうと思っていたらしいのですが、コロナ禍となり頓挫してしまった様です。女将さんがとても残念がっておられました。
料亭の料理に出される食器や室内の調度品も大変に素晴らしく、お料理以外でも楽しめます。
また、田中家さんでは料亭の作法も守られていて、女将さんや中居さんが着物や和服でおもてなしして下さったり、玄関ではお客様をお迎えする為の打ち水がされています。
帰りる際には、女将さんが三味線を弾いてお見送りして下さいました。
料亭では、日本料理だけでなく日本の文化を味わうことができます。
田中家さんを選んだ理由とは?
今回、田中屋さんに伺ったのは、レストランがたくさん掲載されたギフトカタログを頂いたからです。
良く言われる、選べるカタログのレストラン版です。
美味しそうなレストランや格調高そうなレストランが多く掲載されていました。
どのお店にするか選ぶのに悩みましたが、私たち夫婦が出した結論が横浜の田中屋さんでした。
理由は、次の2つです。
- 料理は食べてみないとわからないが、田中屋さんには料理以外にも坂本龍馬夫婦ゆかりの物があり、龍馬の奥さんお龍さんが勤めていた所で、料理以外にも楽しめて思い出になりそうだから。
- 地元横浜の名所だから。
田中家さんの料亭料理
お料理の一部をご紹介します。
一番最初に出された、旬味盛り。
少しずつの量ですが、味付けも良く手が込んでいて、これから出されるお料理への期待感が高まりました。
お造りの鮮度や質も良いのですが、イカが特に美味しかったです。
今まで食べたイカのお刺身の中で一番美味しかったかもしれません。
伺ったところ、イカの包丁の入れ方によるそうです。
料理に添えられた、桜のお花。
もちろん本物のお花です。ちょっと時期が早いのでとても驚きましたし、その演出にワクワクしました。
デザートの『白いおしるこ』と『抹茶のアイス』。
正直、献立を拝見した時に、白いおしるこはあまり期待していなかったのですが、絶品でした。
締めにふさわしく、金粉やフルーツも乗っていて豪華で、本当に美味しかったです。
出されたお料理の器が、普段目にすることが無い様な、どれもいかにも高価そうで素晴らしい食器でした。
さすが、老舗料亭。とっても、気分が上がりました。
歴史と名物女将
今回、田中屋さんでの食事が、大変に思い出深いものになったのは、食事が美味しかっただけではなく、田中屋さんの歴史と名物女将の存在があります。
幕末の歴史
お食事を頂いた部屋には、教科書に載っていた明治の偉人が実際に食べた立派な献立や坂本龍馬の妻のお龍さんの写真が飾ってありました。
田中屋さんで西郷隆盛や高杉晋作が倒幕の話し合いをしたり、伊藤博文など歴史に名を残している名だたる人々が訪れているそうです。
部屋を出た階段の所には、田中家さんを訪れた偉人たちの写真も多く飾られており、まるで料亭がそのまま幕末や明治の資料館の様で、実際にそこで食事ができたことはとても感慨深かったです。
名物女将
田中家の一番の魅力はもしかしたら、名物女将の存在かもしれません。
私たち夫婦が今回の食事が、強烈に印象深く思い出に残っているのは、女将さんと出会ったからです。
いつかドラマ化されるか、末永く語り継がれる人なんだと思わせる女性でした。
食事の時に女将さんが資料を手に、安藤広重の東海道五十三次の神奈川宿の浮世絵に田中家さんの前身のお店が描かれていることや、横浜駅開業時の写真に田中家さんが映っており、その当時はまだ店の目の前が海だったことなどを熱く語ってくれました。
私たちは食事に行っているのに、食事以上に記憶に強く残るほどの人ですから、強烈に個性の強い方です。
そのとてつもなくパワフルな強い個性で、熱くご自身の半生やどの様に開発が進む横浜駅周辺で今の田中家さんを守ってきたのかを語ってくれます。
また、当時働かれていた坂本龍馬の妻、お龍さんのことも写真を見せて頂きながら色々と詳しくお話してくれました。
お龍さんの人柄なども交えての裏話に、
「そうなんですかぁ」と、思わずうなずきながら聞き入ってしまいました。
料理も大変に美味しいですが、直接大変に強い個性をお持ちの名物女将さんと間近に、当時の実際のお店にいながら当時の横浜や神奈川宿の事やお龍さんのことをお話しできるなんて、それだけでも大変に貴重な体験ができました。通常ではできない体験だから、貴重な体験なんです。
思い出に残るから人生で価値があると思います。
絶対に行く価値があります。
貴重な体験をありがとうございました。 良い時間を過ごさせて頂きました。そして、ご馳走様でした。